侍タイ、見ました。
話題の、侍タイこと『侍タイムスリッパー』という映画を見てきました。
侍タイ・・・って書いといて、なんて読むのか、実は分からず。
サムライタイ?サムタイ?
読みやすさだと、サムタイなんでしょうか。
本当は、小鹿田焼のことを書くつもりで準備を進めていたのですが、
いつ公開が終わるか分からないので、映画のことを書こうと思います。
もしよろしければ、お付き合いください。
『侍タイムスリッパー』は、当初、1館からの公開だったにもかかわらず、
SNSや口コミで話題となり、全国区にまで上映が拡大されている、自主製作映画です。
主人公は、幕末の会津藩士・高坂(こうさか)新左衛門。
長州藩士を討てとの命を受け、仲間1人とともに、夜、京都の寺で相手を待ち伏せます。
雷鳴とどろく中、剣を交えたところで、落雷。
気が付けば、そこは現代。しかも、時代劇の撮影所。
色々なところで、騒ぎをおこしながら、ふと目にしたポスターで、
必死に守ろうとしてきた江戸幕府が終わり、
しかも140年も経っていることを知ります。
自暴自棄になりながらも、人々の優しさに助けられ、
侍としての自分の腕だけをたよりに、撮影所で【斬られ役】として生きていくことを決意します。
実は、インディーズ映画が、あまり得意ではない私。
同じく、口コミで大ヒットとなったカメ止めこと、『カメラを止めるな!』も
内容はおもしろかったものの、カメラの動きの激しさについていけず、
車酔いのような状態。
正直、1館から大ヒット!と聞いても、
「でも、インディーズなんよな~。また雑な感じやったら(←失礼...)、酔うかも・・・」と思っていたのでした。
でも、『ジョーカー2』も『八犬伝』も、そのうちAmazonプライムで見れるかもよ?
見るなら、(Amazonプライムで見放題かどうか分からない?)『侍タイムスリッパー』では?
そう意を決して、映画館に乗り込んだのでした。
それで、見てどうだったか。
いやはや、見て良かった!愉快痛快!
とてつもなく、気分スッキリ!
涙あり、笑いありとは書かれていたものの、
泣きはしなかったけど、胸にぐっとくるものあり。
オチは最高に面白く、ネタバレはできませんが、
「あんたもかい!」って笑って終わり!
こんなに気持ちよく、晴れ晴れと映画館を出るのも久しぶり!
そのうち、何かの配信サービスで見ようかと思っていたのですが、
映画館で見て大正解!
なぜなら、効果音と音楽の秀逸さ、迫力は、劇場だからこそ!のものだからです!
単なるタイムスリップものかと思いきや、本当に役者さんの演技が上手くて、
帰ってからも、じわじわ可笑しい。
タイムスリップしたての高坂が、撮影中の時代劇の現場に紛れ込んで、
お芝居中なのに勘違いして、「助太刀いたす」と日本刀を抜くシーン。
当然、監督に怒られて、刀を叩かれるのですが、
その時の表情の可笑しさ!
昼寝中に、いきなり座布団を取り上げられたネコみたいな顔!
「えぇ~・・・・」って感じの顔が、本当に上手なんです。
白むすびを食べるシーン、ショートケーキを食べるシーン。
幕府が滅んだあと、ふつうの人が、ふつうにこんな美味しいものを食べれるのか!
と、「良い時代になった」と感極まる。
台本で、故郷の会津が、新政府軍に囲まれ、大砲を撃ち込まれ、
ほぼ女子供ばかりで城に立て籠もり、どうなったかを知るシーン。
それでも、ここで、この時代で生きていくしかなくて、
置かれた場所で、なんとか生きていこうとする姿勢。
いやはや、本当に、もう2,3回見ても良いくらい。
YouTubeかなにかで、おそらく何回目かの来館と思われるお客さんが、
「映画を見に行くというよりも、出てる人に会いに行く感覚」と言っていたのは、
まさしくドンピシャで、本当に出てくる人、出てくる人、
ひとりひとりが、愛しい感じ。
アカデミー賞をとった『ボヘミアンラプソディー』のような、
豪華絢爛なエンターテインメントとは別の、
一つ一つの細かい所作が美しくて、どこか懐かしい。
にっぽんの昔ながらの、痛快エンターテインメント。
高坂は、必死で守ろうとした幕府が滅んだ後の、
まんざらでもない世界をどう見たんだろうか。
今、未来と言う【結果】の方から【過去】の問題を見る分には、いくらでも言える。
先の分からない、その時代の【今】を生きる者にとっては、
無我夢中でやるしかなかったんだろうと思います。
結果的に正しかろうが、そうでなかろうが。
どの時代に生まれるか、どの場所に生まれるか、
選ぶことはできない。
ひとは、その時々で、自分にできることを精いっぱいやるしかない。
必死で守ろうとしたものが、守り切れなかったにしても、
その先の時代が、今よりずっと良いものになっているなら、
本望だと言えるのか。
それはやっぱり、当の本人でないと、分からないこと。
主人公が、元の世界に帰ることがなさそうな終わり方で、
このまま、【今】を生き続けていくのも好感が持てました。
あと、どれくらいの期間まで上映されるのか分かりませんが、
見に行くかどうか、迷われている方は、ぜひ映画館で見ることをお勧めします!
いや~、おもろかった。