チャットAIに、愛などいらぬか。

大分・自然素材の家。もくせい工舎・ことりのかあさん


皆さん、チャットAIって使ったことありますか?

吹き出しに質問や要望を入れるだけで、それに応えてくれるものです。

「普通に検索するのと、何が違うの?」
「AIとか、なんか得体も知れないし、怖い感じ。」
そんな気もします。(かくゆう私が、そうでした。)


(ざっくりですが、)
例えば、【大分県を旅行したい。自然な場所で、人気のあるところ。】
と、考えていたとします。


普通の検索なら、【大分県 旅行 自然 人気】などという検索ワードを元に、

参考になりそうなサイトが、順番に表示されますよね。

普通の検索


チャットAIは、

「【大分県を旅行したい。自然な場所で、人気のあるところ】を教えて!」と質問すると、

チャットAI

「大分県には自然を満喫できる観光スポットが沢山あります。以下の場所は特に人気があります。」
などと始まり、

おすすめの場所を地図や写真、リンク先などもいっしょに5か所ほど候補を挙げてくれます。

検索と違い、サイトの一つ一つを訪れて、当たりハズレを確かめたり、まとめたりする必要がないのです。

・・・便利。

このチャットAIを使えば、お店のキャッチコピーはもちろん、
ただいま、私が拙い文章で書いているブログ記事なども、いとも簡単に作成してくれます。

下手な文章を、お客様に解読?してもらわずすみます。


そこで、チャットAIなら、もくせい工舎のような自然素材の家のキャッチコピーをどう書くのか、試してみました。

質問は、こう。

「自然素材の家を購入したくなるようなキャッチコピーを考えて!」

それに対し、答えがこちら。

「もちろんです!自然素材の家を購入したくなるようなキャッチコピーをいくつかご提案しますね。

1. 「自然とともに暮らす、心地よい未来へ」
2. 「自然の恵みを、毎日の暮らしに」
3. 「自然素材で作る、あたたかい家族の物語」
4. 「地球とつながる、優しい暮らし」
5. 「自然が創る、心安らぐ住まい」

どれも自然素材の魅力を引き出しつつ、暮らしの質を高めるイメージを伝えられるようにしました。気に入ったものがあれば嬉しいです!」

・・・すごい無難です。とりあえず使う分には、申し分ない。

答えとしては、優等生というか、模範的と言うか、ハズレなしというか。

・・・・でも、なんでこうも標語っぽいんだろ?

間違っていないんだけど、タダシイんだけど、

なんかこう、心揺さぶられるものがないというか、

カミナリが落ちたような衝撃がないというか、・・・なんなんだろう。

せっかく答えてもらったのに、ワタシみたいなひねくれものは、
このキャッチコピーで、自然素材の家を買おうと思わない・・・かなぁ・・・。

ごめんよ、チャットAI。せっかく考えてくれたのに・・・。


推測ですが、人が何かの言葉に感動するときって、そこには意外性が含まれているんじゃないでしょうか。

自分が思ってもいなかったこと、
考えてもみなかったこと、

もしくは言葉にできなかったことを、

誰かの言葉で、一気に水が流れだした滝のように、

衝撃を覚えるほどの、何かを感じた時はじめて、

心は震え、記憶に残るんじゃないでしょうか。


私にも、心震えた言葉がいくつもあります。

言葉だったり、文章全体の世界観だったり色々ですが。

例えば、吉本隆明さんの『ひとり』という15歳の寺子屋シリーズ。

そこには、【ひとり】であることや、【才能】というものに対して、

15歳の多感な子どもたちに向け、吉本隆明さんなりの言葉で語られています。
(それを15どころかオバちゃんになって読んで、衝撃を受けた。)

それは、吉本隆明さんが生きてきて、考え続けて、蓄積され、
発酵して、しぼりだされた何かであり、

それは、ネット上の膨大な【データ】を元に応えるチャットAIとは

まったく質の違うものです。


チャットAIのような、おおむねハズレのない答えではなく、

ハズレか当たりかはともかく、

人間の脳や、経験や、血のようなものを通って、

熟成されたでてきたようなそれらの言葉は、

こうも、なぜ人の心を震わせ、励ますのか。


チャットAIは、優秀な帰国子女の秘書みたいだとある本に載っていて、

本当に優秀だけれど、比喩的なことは苦手な面もあると説明されていました。

検索エンジンというシステムも、チャットAIも、
人工物であり、機械である点では、きっとお互いに相性が良いのではと思います。

外国語に比べ、日本語特有の、【含み】や【ニュアンス】のようなものは、
人工物や機械には、なかなか難しい。

雨という自然現象一つをとっても、しとしとなのか、ザーザーなのか、キリのようなのか、
日本語は、抽象的でもあるからです。


それで考えれば、チャットAIの方がよっぽど検索エンジン好みの文を書けるのかもしれない。

しかし、それを読むのは【人間】であって、

その心を動かすものの一つが、「意外性」であるのなら、

ネットであふれた【データ】をまとめただけの
チャットAIの言葉に、いまいち迫力がないのは致し方ないのかもしれない。

それは、どこでもよく目にする、誰かが言っていた言葉だから。

【あたりまえ】のことだから。


吉本隆明さん然り、石牟礼道子さん然り、金子みすゞさん然り。

言葉やその文章で、人の心を揺さぶる人は、
人が【あたりまえ】と気にも留めないことを

掘り下げて、掘り下げて、全身全霊をかけて、生み出すよう。

誰もが目にする検索上位のバズッた世界ではなく、

人の目に付きにくい、それでも確かに存在する何かを、見ているように思います。

【あたりまえ】じゃないから、【意外】で、心が動くのです。


検索上位にならなければ、【意味がない】世の中で、

人の心を動かすのは、データや情報ばかりではないことを、
あらためて考えてしまう。

チャットAIによる文章も、デザインも、どんどん増えていく。

それは、まるでプラスチック容器のように、
便利で手軽で、十分に用をなす。

でもどこか、味気ないような、人間臭くないような・・・。

たぶん、ちょっとダメな感じを残した余白が、
不完全な何かが、

その人らしさであり、味なんだと思います。

とはいえ、検索上位にならねば【意味がない】とされるんだけども。

AIと愛

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