すだちを前に
春先から、わが家の庭に小鳥の声が目立つようになりました。
さえずり?
いえいえ、けたたましい警戒音というか、威嚇音。
「ジョジョジョジョジョジョジョッッ‼‼‼‼‼‼‼」
シジュウカラか、セキレイか?
茶色のくま取りの鳥もいる。
センダイムシクイかな~、
それにしては大きいような・・・。
その正体、後日判明することとなるのです。
ある日、ご近所のミケちゃん(♀)が
わが家の庭先を通って、
そのまま用を足しに、ウチの畑へ。(・・・って、家でしようよ。ミケちゃん。)
さかんに、その頭上を飛び交って、
(御用の最中の)ミケちゃんの頭に、蹴りを入れる小さな鳥。
ミケちゃんも、「なんや、なんや?」って感じで
そそくさと退散します。(・・・って、出たんなら埋めようよ。ミケちゃん。)
「子育て中は、気がずいぶん強いんやなぁ~。
それにしても、猫に蹴りまでいれるかしら・・・。」
そうこうするうちに、窓の外を見ていた夫が「ナニワイバラの所に、なんかおる」と言う。
「ん~?」
なんか、モッフモッフの鳥がいる。
夫:「スズメやろうか?」
ヒナなのに、スズメより大きい。
くちばしからしても、鷹っぽいというか
草食のソレじゃない。
「・・・モズの子どもかもしれん」
そう、ミケちゃんの頭に蹴りを入れていた強者の正体は
モズだったのです。
かわいい顔でエサをねだるの図?いや、この子自体が「ジョジョジョジョジョ!」と警戒音を出していたのでした。赤子でもモズは強し。
なんでも、モズは鳥の中でも巣作りの時期が
2月くらいからと早いらしく、
うまくいけば4月中旬には巣立つとのこと。
そうか、この子もそろそろ巣立ちの時期なのね~。
それにしても、かわいい顔です。
くちばしや胸の模様は猛禽類みたいだけど、
スズメ目(!)モズ科の極々身近な鳥です。
その、モズのヒナが隠れていたナニワイバラ。
昔住んでいたアパートの近くに、小さな雑貨屋さんがありまして
そこの屋根を覆っていた圧巻の風景が忘れられなくて
家を建ててしばらくして、庭に植えました。
時期になると、たくさんの目玉焼きみたいな花がびっしり咲いて、
それはそれは見事なのですが
おしゃれ庭じゃなくてすみません。フォトジェニック感少な目です。
実はあまりお勧めできないバラ。
病害虫の心配もなく、ほったらかしでもよく育ちます。
もう、じゃんじゃん育つ。
・・・育ちすぎるのです。
そのくせトゲはかなり鋭く、血しぶき覚悟で剪定せねばなりません。
でも、この鋭すぎるトゲが外敵から身を守るのか。
小さな鳥などが、ここを拠り所にしているようです。
香りはそんなにない花なのですが、蜂たちがよく集まり、
なかなか蜜集めのお役に立っている模様。
元々は砂利敷きの敷地だったところに
少しづつ樹を植えて
落葉樹の落ち葉が層になり、
だんだん「なんちゃって森のような」庭になりました。
(マメじゃないので、草ぼーぼーワイルドガーデンというか、ほったらかしガーデンと言うか。)
真ん中はシマトネリコ。・・・これも雑木の庭が好きなら、今思えば、ちょっと違う感じ。
コンクリートで固めれば手間もかかりませんが、
土と木がある風景は、モズや他の鳥、昆虫など
多種多様な出会いをもたらしてくれることがあります。
土があり、木がある風景は、
風の通り道にもなります。
手間ひまがかかることは、敬遠されがちな世の中で
土にふれ、木にふれることは、
人間にとって代えがたいこと。
人間だけがこの世に生きているわけじゃなく、
この世界の一部として生きていることを
再確認させてくれます。
そんな同じ生き物としての
モズの子の巣立ちも近い。
今か今かと風を待つ。
広い世界へ飛び出したくてウズウズしている様子は、
くたびれた中高年を、ハッとさせるほど
キラキラまばゆいのでした。