あのこのねどこ

大分・自然素材の家。もくせい工舎・ことりのかあさん


秋くらいから、わが家の物干し場の屋根の下を
寝床にする猫がいました。

白黒のハチワレで、たぶんオス。

顔はパンパンに大きいのに、体はやせて、細長い。

しかも足が長いので、全体的に、にょろりとした印象。

何かに似ていると思ったら、

昔『ネバーエンディングストーリー』という映画に出ていた
ファルコンの、

にょろりとした猫

・・・顔が猫版。

鼻はズルズル、体も汚れきって
The 野良猫!といった感じの子。

人慣れもしておらず、はじめのうちは顔を見るだけで逃げていました。


ハチとゴマ
珍しくひっついている。

わが家には、元野良猫が2匹います。

2匹とも最初からフレンドリーで、
私の様な素人でも保護自体は簡単でした。

それでも、
後輩のゴマちゃんを家に入れた時、
先住のハチさんがかなりナーバスになったこと

わが家に来れば完全に外の自由はないこと
(もう外に出れないと分かって、暴れて大変だった・・・。)

色々な理由で・・・そうそう気軽に保護できない。

そこで、エサは与えないけれど、
寝床は冬の間、大目に見ることにしました。
(エサは、猫界のマザーテレサ?のようなご近所さんから
おこぼれをもらってるようでしたし、それに敷地内で凍死されても困る。
どのみちどこかで寝るのなら、
猫嫌いの人の敷地より、ウチの方がまだましかも~と判断した次第です。)

とはいえ、おらが村は市街地より冷え込みます。

冬場は、氷点下になることも珍しくありません。
(窓と窓枠が凍ります。)

さて、どうするか。

そこで思い出したのが、ウン十年前の記憶。

私が育った地域では、ホームレスが多くて

街中まで徒歩で行けるような
高速道路の下などに、その人たちの住まいがありました。

通学のバスの中から、
彼らの住まいに「お布団」があるのを見て、

「なるほど!とにかく、住居の基本は
温かい寝床なんだ」と実感したことがあります。

野良猫もきっと同じはず。

雨風がしのげる場所であるのはもちろん、とにかく、断熱。
そして、できたら加熱・保温です。

プチプチの梱包材を100均で買ってきて、段ボールに貼り、
外側は、ボロボロになったアルミシート付のショッピングバックで覆い

温かそうな布と、夜には使い捨てカイロを入れます。

そうこうするうちに、その猫も
怖いんだけど、どうも寝床を用意している人間だと認識してくれたのか

カイロを入れ替える間、
逃げはするものの、少し離れて
終るまで待っているようになりました。
(顔は、・・・寒いんやけ早く!と言いたげだったけれど。)

カイロを入れて、助かったのが
その猫の下痢が治ったこと。

片付けるのが大変だったので、これは思わぬメリットでした。
(よっぽど冷えていたんだろうと思います。)

朝、洗濯物を干しに出ると、
湯船に浸かるように

気持ちよさそうな顔をして

段ボールの縁にあごを載せているので

なんだかかわいい。

でも、今は姿を見ていません。

代わりに他のオス猫がうろつくようになったので、
喧嘩に負けたのかもしれません。

野良猫の世界は厳しい。

せめて寝床くらいと思ったけれど

猫好きな人ばかりじゃないので、
寝床を用意するのも、良い顔はされません。

・・・でもな~。

好きで(野良猫にしろ、ホームレスにしろ)こうなったわけじゃなかろうもん!
と、思うのです。

世渡りもぎりっぎり!の危なっかしい私などは、
明日は我が身だし、他人ごとではないのです。

輪廻転生という言葉があります。そのホントウは、私にはわかりません。

真相はともかく、
今厳しい目に遭っている人や命に
生前の悪行が・・・なんていうのも、なんだかなぁと思います。
(悪行までいかなくても、みんな気づかぬうちに色々やらかしてるはず。)

それでいうと、罰が当たった的な視線より

ホントウは、
「明日は我が身なんだから、無下にするな」ということじゃないか。

そう信じたい。

もう来なくなったあの猫が、
どこかで死んでしまったのか。

もしかして、可愛がってもらってるのか。

それは分からないけど、

いのちを無下にすることは

やっぱり嬉しくはない。

お金を払えば、ペットショップで可愛い犬や猫が買える。

あれを人間だったら・・・と想像して

見目可愛らしい人間の子どもが、

母親が恋しい年頃の小さな子どもが、

ショーケースに入って売られているようなところを想像して、

なんだか普段、意識しないことが怖くなる。

一番怖いのは、
自分に限ってってことかもしれない。

自分に悪い部分も、醜い部分もあると意識がある人より、

全くの善人のつもりでいる方が、なんだか始末に負えない。

薄ら汚れて、すっかり野良猫臭くなった
あの段ボールにカイロを入れる度、

どこで何しているんだか、と思います。


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