たけおさんぽ ③
武雄さんぽ、続きでございます。
念願の、森のような喫茶店【山閑人】を後にし
とりあえず、ホテルに戻って
近場をウロウロすることに。
当初の予定では
山閑人で早めにご飯を食べ、その帰りにビールを買い、
夜のんびり飲もうと決めていたので
あまり遅くならないうちに
戻りたかったのです。
部屋に戻り、ガイドブックを見てみると
有名な武雄温泉の楼門まで、それほど遠くなさそう。
散歩がてら見に行って、
ついでにビールも買ってきましょう。
西九州新幹線開業に伴い、今年の秋に
新幹線が乗り入れることになった武雄駅はピッカピカ。
人口およそ4.8万人と、中津市の半分強ほどですが
新幹線は乗り入れるわ、
世界的な建築美を兼ね備えた公立図書館はあるわ、
スタバは2ヶ所もあるわ・・・。
人口だけで判断するには、
なかなか侮れない、武雄市。
大きなデパートや、銀天街があるわけではありませんが
駅周辺はこじんまりとしながらも
やっぱり観光温泉地の風格です。
温泉宿が立ち並ぶ路地を歩いていくと、
見えた、あれだ!
「千と千尋の~」ではありませんが、
いきなりこれが出てくると、異世界に来たような不思議な感じがします。
ここから先は、別世界。
八百万の神様が集う、お湯屋に違いない。
券売機で券を買っている、あの"おいちゃん"も
きっと人の姿をした、どこかしらの神さんに違いない。
・・・と、なんとなく入りにくい感じもして
外から見学することに。
竜宮門から伸びる翼屋も、エキゾチックな趣。
設計は、唐津出身の辰野金吾氏。
あの、東京駅の設計者です。
(最近、グリコ森永の創業者も佐賀生まれと知り、ビックリしたばかりだったので
佐賀=業界でグイグイ活躍!のイメージができてしまいました。)
見事ですよね~。
天平式楼門と呼ばれ、なんと釘を一本も使っていないのだとか。
竜宮門なので、一部は漆喰。
もくせい工舎も漆喰を使うので、
ちょっと醸し出している雰囲気が似てますね。
モルタルだと、似たように作っても
何か違う気がします。
汚れ方も、古くなり方も違う。
素材の質感が、手ざわりにも
雰囲気にも影響するんだと思います。
素材の質が、空間の【佇まい】をつくる。
すごいなあ。
楼門で、お風呂にも入らず写真を撮りまくり
さて、どうしよう。
散々歩き回って、お腹もすきました。
(テイクアウトの宅配担当でしょうか?ぐっすり待機中のクロネコヤ●トさん。)
う~ん。おいしそうだけど
焼き鳥の匂いをプンプンさせて
ロビーとエレベーターを通過するのも
なんだかなぁ。
しばらくすると、雑貨屋さんのドアの前に
【デトックス薬膳カレー】の文字。
デトックス!
・・・そうとう毒も溜まってたんでしょうか。
吸い寄せられるように店内へ。
そこは、昔ながらの喫茶店+雑貨屋【中村屋】さん。
時間が時間だったので
「・・・あの、食事できます?」
「6:30から集まりがあって、ここを使うんですが
それでもよろしければ。」
うん。一時間くらいはある。
中に入って、薬膳カレーを注文しました。
店内には東南アジアの
エキゾチックな雑貨がいっぱい。
どこの国か分かりませんでしたが、
東南アジアの方の、写真もいっぱい、
壁一面に貼られていました。
(・・・何か支援している人なんだろうか?)
年配の優しそうな女性店主が
店の奥で手際よく、作ってくれている音がします。
ご近所さんか、顔見知りか
テーブルの、お客ではなさそうな女性と話しながら
あっという間に作ってくれました。
「辛かったら、これで調整してください」
そう差し出されたのは、クルミをバナナで和えたもの。
このカレーがですね。
本当においしい。
色々なところで薬膳カレー食べる私ですが、
一番好みだった。
スパイスがとがっていて、コクがないとか
辛いだけ、とかじゃなく
スパイスしっかり、
旨味しっかり、おいしいカレー!
ちょっと辛いので、混ぜたバナナとくるみが
これまた美味しい!
外から見ると、おしゃれエプロン並べた
昔ながらの喫茶店&雑貨屋さんなのですが、
意外に、といったら失礼ですが、
意外なほど美味しかった!
後で調べたら、店内に貼っていたのは
カンボジアの写真のようで。
一ノ瀬泰造さんという、武雄出身の写真家をご存じでしょうか。
私は名前は知らなかったのですが、
「地雷を踏んだらサヨウナラ」のフレーズだけは
聞き覚えがあって。
昭和22年生まれの報道写真家、戦場カメラマンで
昭和48年に、クメール共和国にて
残念ながら、遺体で発見されています。
S22年のお生まれとのことですから
私の母とほぼ同世代です。
その方の写真展が武雄であった時、
イベントとしてカンボジアカレーを
期間限定で出していて、とかまでは分かったのですが
お店と一ノ瀬泰造さんとの関係や、
貼っていたのが本当にカンボジアかは
はっきり分からず・・・・。
でも、店主の女性も
年齢的には母と同世代くらいだったので
何かご縁があったのかな、と妄想してます。
山閑人さん然り、
中村屋さん然り、
色々な物語がありそうで、
奥が深い。武雄。
「あ~、明日は息子を迎えに
佐賀市内に戻らんと!」
ドラモリでビールを買い込んで
見上げた武雄の
夏の夕暮れは
綺麗な青が広がっていました。
「ついで旅」とは言え、旅はいいなぁ。
縮こまってしまいがちな世界を
少し広げてもらえました。
(ちなみに、後日Googleからのお知らせで、この日は、4時間半歩いていたようで。
私のウォーキングの、9日分相当でした。どうりで筋肉痛・・・。)