きくチカラ
元来、あまり話すことも、聞くことも
得意な方ではありません。
話していても、上手く通じる事の方が少ないですし
相手の話を落ち着いて
じっくり「聴き」に徹することも上手ではありません。
PTAの研修で、アナウンスセミナーを受けたことがあります。
講師は、元地元TV局のアナウンサーで、
私と同じ年くらいなのに、ずっと若く見え
笑顔で、ハキハキと話される方でした。
その中で、講師の方が、癌を患ったある芸能人の講演会の話をされました。
「女優さんですから、それはそれは、美しくて素敵なんですが
話の間と間に、必ず『え~っと』が入るんですね。
なんか、だんだんそちらの方が気になりだしまして
話そっちのけで、何回『え~っと』って言ったか数えてしまいました(笑)」
以前読んだ本の中で、
こんな内容の事が書かれていました。
「話すことが上手な人は、つらつらといかに話すかの技術にとらわれがちだが
話すことが、元々苦手で、どうやったら上手く気持ちが伝わるか
悩みぬいた人の言葉というものもある。
上手く伝えられない、根っこの部分。
沈黙も言葉なんですよ。」
「話す」技術はあっても、「聴く」チカラがなければ
そこに温かな雰囲気は生まれない。
『え~っと』の女優さんも、話すことが上手くなくても
伝えたい根っこがあったはず。
話の技術のことだけとられると、なんだか切ない気もします。
もうずいぶん前になりますが
NHKのハートネットTVで、
長野県上田市の侍(さむらい)学園・長岡秀貴さんの特集がありました。
侍学園とは、不登校や引きこもりなど、
学校や社会に居場所を見つけられず苦しむ人たちが
生きる力を取り戻し、再び輝くための学校です。
放送当時の生徒さんの年齢は14~41歳。
卒業するには
■仕事を3か月以上続け、経済的に自立すること
■学園の外にも、友達など自分から人間関係が築けるようになり
精神的に自立できること
この2点。
詳しくは→こちら
その中で、『コミュニケーション能力について』という授業に
俳優の風間俊介さんが参加し、学園の女の子と
コミュニケーションの練習をするシーンがあります。
「この中で、コミュニケーション、
めちゃくちゃ得意!っていう人、いますか?」
風間さん以外の手は上がりません。
みんな「どう返そうか困る」「うまく返せない」のが悩み。
みんな、言葉の難しさをよく知っていて
相手にどう思われるか考えると、
心配で言葉が出てこないのです。
長岡さんにコミュニケーションの練習の感想を聞かれ、
女の子が
「(風間さんが)話すのが上手だったので話しやすかった」と答えます。
そこで、長岡さんが答えます。
「なるほど。
実は、コミュニケーション能力を円滑にするのは
聞き手の能力にあるのではないか?ということです。
失敗しても、ましてやあまり期待に応えられないことを言っても
許してもらえるのではないかと言う安心感が
その聞き手にあった可能性が高い。
だから笑顔で話せる。
いい話が出来た!からではない、ということです。」
話す以上に、聞くことは、難しい。
私なんか、自分の事ばっかり話してしまう。
でも、確かに
「受け止めてくれる」「拒絶しない」「笑われない」安心感のある関係は
本当に心地よく、また話したい気持ちになる。
話し上手な人が、聞き上手とは限らないように
話すのがヘタでも、とんでもなく聞き上手な人もいる。
また会いたい!
そう思うのは、どっちの人だろう?
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